月経前症候群(PMS)とは
Column
「月経前になると、なんだか気持ちが落ち込む」「イライラが止まらない」「むくみや腰痛がしんどい」――、こんな経験はありませんか?
これらは、月経前症候群(PMS: Premenstrual Syndrome)と呼ばれる症状かもしれません。
PMSは、月経の始まる数日前から心身にさまざまな不快な症状が現れる状態を指し、月経が始まると自然に症状が軽くなるのが特徴です。症状の程度や現れ方は個人差がありますが、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
PMSの症状
PMSの症状は、心と体の両面に現れることが特徴です。主な症状としては以下のようなものがあります。
身体的な症状
- 腹部の膨満感
- 胸の張りや痛み
- 頭痛、下腹痛、腰痛
- むくみや体重増加
- 関節痛、筋肉痛
精神的な症状
- イライラや怒りっぽさ
- 気分の落ち込み
- 集中力の低下
- 涙もろくなる
- 不安感が強くなる
これらの症状が月経の3~10日前に始まり、月経が始まるとともに軽減する場合、PMSの可能性が高いです。
PMSの原因
PMSの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、ホルモンの変動が関係していると考えられています。
1.ホルモンバランスの変化
月経周期に伴いエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが急激に変動することによって、PMSの症状が引き起こされるといわれています。
2.神経伝達物質の影響
PMSでは、女性ホルモンが変動することでセロトニンという脳内の神経伝達物質が低下するといわれています。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、精神の安定やストレスの緩和など心身の健康に深くかかわっているといわれています。セロトニンが不足すると、気分が落ち込みやすくなる、イライラや不安感が増すなど、PMSの精神的な症状を引き起こすとされています。
3.生活習慣やストレス
不規則な生活やストレスがPMSを悪化させることがあります。
4.栄養不足
ビタミンB6やカルシウム、マグネシウム不足が症状を悪化させる可能性があります。
また、カフェインや塩分、糖分の摂りすぎはPMSを悪化させることがあるので注意が必要です。
PMSを和らげるには?
PMSの症状を少しでも和らげるためには、日頃の生活習慣が大切です。
食生活を整える
塩分やカフェイン、糖質の摂りすぎを控え、ビタミンB6(バナナ、ナッツ、鶏肉)やカルシウム、マグネシウム(ナッツ、海藻)、鉄分(レバー、ほうれん草)を意識して摂取するようにしましょう。
適度な運動をする
軽いストレッチやヨガ、ウォーキングなどの有酸素運動はPMSの症状を軽減するといわれております。
十分な睡眠をとる
睡眠不足はPMSを悪化させることがあるため、十分な睡眠を心がけましょう。
ストレスをためない
ストレスによりホルモンバランスが乱れる可能性があり、無理せず、自分を大切にすることが大事です。
それでもPMSが辛いときは?
PMSの症状がひどく、日常生活に支障が出る場合には、婦人科に相談するのもひとつの方法です。ピルや漢方薬などで症状を和らげることも可能です。
月経前症候群(PMS)は多くの女性が経験する症状ですが、適切な対処法を知ることで、症状を軽減し、生活の質を向上させることが可能です。日常生活の改善だけでなく、医療的なサポートを受けることで症状をコントロールできる場合もあります。
当院では、PMSにお悩みの方に対して丁寧な診察と治療を行っています。お気軽にご相談ください。あなたの症状に合わせた最適なアプローチをご提案します。